入居までの費用・入居してからの費用
1. 用意するお金の目安は家賃の6か月分
賃貸住宅に入居するには、およそ家賃の6か月分前後が必要と言われています。その内訳は、礼金が1ヶ月分、敷金が2ヶ月分、仲介手数料が1ヶ月分、前家賃(=入居を開始する月の家賃)が1ヶ月分です。もっとも、礼金が不要の物件もありますから、6ヶ月というのはあくまで目安と考えてください。また、引越し費用や家具の購入費用も含めると、実際にかかる費用は6か月より多いとも言えます。できるだけ余裕を持って予算を組んでおく必要があります。
2. 礼金は家賃の1〜2ヶ月分
賃貸住宅に入居するとき、家主に対して礼金を支払うのが一般的です。礼金は、賃貸住宅から退去しても戻ってきません。礼金の額は物件によって異なりますが、およそ家賃の1ヶ月分前後が相場です。
なお、礼金が不要の物件もあります。礼金を支払うのは、賃貸借契約を正式に締結するときです。物件探しや入居申込の時点では、礼金を支払う必要はありません。
3. 敷金は家賃の2〜3か月分
賃貸住宅に入居するとき、家主に対して敷金を預けておくのが一般的です。敷金はあくまでも預けておく金銭ですから、賃貸住宅から退去するときに原則的には戻ってきます。
ただし、賃貸住宅から退去する際に、家賃を滞納している場合や、入居者の負担で部屋を補修する必要がある場合には、その金額が敷金から差し引かれることになります。
敷金の額はおよそ家賃の2〜3ヶ月です。敷金を払うのは、賃貸借契約を正式に締結するときです。
なお、一部地域では家主に預け入れた敷金(保証金)の一部を退去時に償却する「敷引」と呼ばれる制度を採用している場合もあります。
4. 仲介手数料は家賃の1か月分
仲介手数料は、家主と入居者との仲立ちをしている不動産会社に支払う金銭です。この金額は最大でも家賃の1ヶ月以内と法律で決められています。実際には、この限度額いっぱいまで(つまり1ヶ月ちょうど)を支払うケースが多いようです。なお、この費用には消費税がかかります。
5. 引越し費用は1部屋タイプで5〜10万円
賃貸住宅に入居するとき、意外にかかるのが引越し費用です。この金額は、部屋の広さ、荷物の量などによって違います。また、引越し会社によっても開きがあります。およその目安として、ワンルームや1DKの場合で、5〜10万円と考えておいてください。
6. 前家賃は1ヶ月分
前家賃とは入居を開始する月の家賃のことです。たとえば、8月に契約をすませて、9月から入居を開始する場合に、契約の時点で9月分の家賃を前もって支払います。これが前家賃です。
なお、月の途中から入居する場合は、前家賃として、その月の家賃(入居する日から月末までの日割り家賃)と翌月分の家賃を、一緒に支払うことが多いようです。この場合、前家賃は1ヶ月分を超えることになります。
7. 火災等保険料・鍵の付替え費用も忘れずに
賃貸住宅に入居する場合、入居者は自分のお金で火災保険に加入することが条件になっているケースが多くなってきています。この費用は1〜2万円程度、間取りの大きさで異なる場合があります。なお、加入手続きは不動産会社が代行してくれます。また、ドアノブの鍵の付替えは「マスターキーに合ったシリンダー(当社在庫分)での交換」をする事もできます。この費用は1万円程度かかります。
8. 礼金ゼロの物件もある
近年では礼金が不要な物件も増えてきました。礼金ゼロの物件の多くは、住宅金融公庫の融資で建設された物件です。住宅金融公庫の融資を受けた物件では、家主が入居者から礼金や更新料を受け取ることができないからです。また礼金ゼロの物件の中には、家主が自主的に礼金をゼロにしているものもあります。
9. 仲介手数料ゼロの物件もある
賃貸住宅の広告に「取引態様」という欄があります。この欄には「媒介・代理・貸主」という3つの言葉のどれか1つが書かれています。
この取引態様の欄に「媒介」または「代理」と書かれている場合は、その広告を出している不動産会社がその物件を仲介しています。したがって入居者はその不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
しかし、取引態様の欄に「貸主」と書かれている場合は、その不動産会社が自社所有物件を貸すという意味で、つまり入居者は貸主と直接契約することになるので、仲介手数料は一切不要、ということになりますが、貸主も借主を募集している場合で、管理は別会社に委託しているという場合には仲介手数料は必要になってきます。
10. 駐車場料金、駐輪場料金も考慮に入れる
賃貸住宅の駐車場を使用するには駐車場料金を毎月支払う場合が多く、地域によっては、駐車場を使用するために「敷金」を預ける場合もあります。
賃貸住宅の広告では、駐車場についても記載されているのが普通です。ここで駐車場料金が毎月いくらかかるのかをチェックしておきましょう。
また、駐輪場の場合でも料金を徴収する場合があります。
11. 更新料の支払いは2年に1度
賃貸住宅は2年に1度の割合で契約を更新するのが一般的です。契約を更新する際には、家賃の0.2ヶ月分〜0.5ヶ月分の「更新料」を支払うケースが多いようです。
更新料とは、契約の更新の際に家主に支払う金銭であり、部屋から退去しても入居者には戻ってきません。更新料の金額は、賃貸住宅の広告には書かれていないことが多いので、賃貸借契約を結ぶ前にしっかりチェックしておく必要があります。
12. 損害保険料の支払いも2年に1度
入居者が賃貸住宅に入居する際には、入居者の負担で損害保険や共済などに加入するのが一般的です。この費用は1〜2万円程度です。さらに、2年に1度契約を更新する際にはあらためて、損害保険や共済などに加入する必要があるので、更新のたびに出費することになります。
部屋探しは情報収集から始める
1. まず家賃の相場を調べる
部屋探しを始めるとき、最初に、自分が希望する地域の「家賃相場」を調べることが大切です。
家賃相場は地域ごとにほぼ決まっています。たとえばワンルームマンションの相場が「7万円台」の地域で、「5万円台」の物件を探しても、見つかる可能性は非常に低いということです。
2. 急行・特急の停車駅は家賃が高め
当然のことですが、郊外に伸びる沿線では、急行・特急の停車駅は家賃が高めです。その理由を考えてみると、急行・特急が停車するということは、昔から市街地が発展していて、不動産の価格も高く、その結果、家賃相場も高いからです。
逆に考えると、家賃相場が高い地域は、それなりに町が発展していて、生活が便利であると言うこともできます。
その反対に、急行・特急の停車駅からターミナル駅に向かって1駅か2駅手前の地域は、交通の便はあまり変わらないのに、家賃相場は安くなりますから、狙い目とも言えるでしょう。
3. 駅から近いほど家賃は高くなる
駅の周辺は、生活が便利であり、しかも土地の価格が高いので、必然的に家賃も高くなります。駅から徒歩10分以内では家賃相場は平均的に高いのが普通ですが、駅から徒歩15分を超えると安くなります。
また駅から徒歩20分を超えると、一般的にはバスを利用することになるので、交通が不便な分だけ、家賃相場はかなり安くなります。
4. マンションとアパート、どちらを選ぶか
マンションとは、一般的に、3階建て以上で鉄筋コンクリート構造の物件を指します。またアパートは、2階建てで、木造や軽量鉄骨構造の物件を指します。
家賃相場から見ると、アパートはマンションよりも2割程度安いと言えます。しかし建物構造が違うので、一般的にアパートは、マンションよりも防音性が劣るのが欠点です。騒音が気になる場合はマンションを選ぶ方がよいでしょう。
なお最近では、2階建ての物件でも、コンクリート構造(気泡コンクリートなど)を用いた物件が出てきました。この場合はマンションと同程度の防音性があります。
5. 賃貸情報誌の賃貸情報
賃貸情報誌は不動産会社から賃貸物件の広告を集めて消費者に届けるものです。情報を集めてから発行するまでに1〜2週間かかるので、情報誌が発売された時点では、すでに成約してしまった賃貸物件が掲載されていることもあります。しかし、賃貸情報誌には、数多くの情報を手軽に見ることができるというメリットがあります。
6. 賃貸情報誌には載っていない賃貸情報
不動産会社は、2つの方法で賃貸物件の広告を出しています。第1の方法は、賃貸情報誌を利用して直接消費者にPRする方法(消費者向け情報)です。第2の方法は、ほかの不動産会社に対して賃貸情報を公開する方法(不動産業界内情報)です。
この業界内情報は、消費者の目に触れることは少ないのですが、不動産会社に行けば、見せてもらうことができます。
物件情報の読み方・不動産会社の選び方
1. 賃貸情報は「足」が早い
賃貸物件は、入居者募集をしてから入居者が決まるまでの時間が短いという特徴があります。とくに、毎年1月〜3月の賃貸シーズンの場合、早いものでは1〜2週間で入居者が決まると言われています。
2. おとり広告には要注意
おとり広告とは、実際には存在しない物件を広告に出すことです。おとり広告は、消費者をお店に誘引することを目的にした架空の広告ですから、付近の家賃相場よりも格安の物件として広告することが多いようです。
おとり広告は法律違反ですから、本来あってはならないものです。賃貸物件を探すときには十分注意してください。
3. 広告に掲載されない情報項目もある
賃貸情報誌は、賃貸物件を探すとき手軽に利用できるものですが、スペースなどの関係で、その物件に関するすべての情報項目を掲載することはできません。
たとえば、2年に1度の契約更新の際に支払う「更新料」は掲載されていません。また、不動産会社に支払う「仲介手数料」の金額も掲載されていません。
こうした情報項目は実際に不動産会社を訪問した際に、自分でチェックする必要があります。
4. 広告のトラブルは
@各地の「不動産公正取引協議会」を利用する
不動産広告の表示基準「不動産の表示に関する公正競争規約」(広告ルール)を運用する不動産業界の自主規制団体で、全国に9つあります。この協議会では、不動産広告を常時監視し、広告ルールに反している不動産会社に警告等を行ったり、消費者からの苦情や相談を受け付けています。

A各都道府県の不動産取引に関する相談窓口を利用する
この窓口では消費者の不動産会社に対する苦情を受け付けています。公共団体なので、不動産会社を詳しく調査する権限があり、悪質な不動産会社にはその営業を停止させることも可能です。
5. 不動産会社の業務の違いを知る
賃貸物件を扱う不動産会社の業務は、大きく2つに分かれます。1つが「賃貸管理」業務。家主からその賃貸物件の管理を依頼され、家主に代わって建物を維持するための管理や家賃集金等の業務を行います。合わせて、直接入居者募集の業務を行う不動産会社もあります。
2つ目が、「賃貸仲介」業務です。この業務を行う不動産会社は、入居希望者の対場に立って希望に合った物件を探し出し、現地案内、そして契約までの交渉事等を行ってくれます。
6. 不動産会社の選びかた
住みたいエリアがはっきりと決まっている場合は、その最寄り駅周辺の不動産会社を訪ねてみるのが良いでしょう。環境面の情報も得られるはずです。
一方、通勤や通学など沿線から探す場合は、インターネットで検索し、その沿線にある物件を多く取り扱っている不動産会社を訪ねてみましょう。広いエリアから希望条件にあった物件を見つけてくれるでしょう。
また、不動産会社の業態の違いによる選び方もあります。賃貸広告を出している不動産会社は「賃貸管理」会社の場合もあれば「賃貸仲介」会社の場合もあります。管理会社の場合、家主から依頼を受け入居者募集を行っているため、その物件の入居者選定や賃料設定等に関してある程度の権限を持っていたり、家主と相談する立場にありますので、折衝事が得意な人には自分の希望が反映される可能性があります。
仲介会社の場合、借主の依頼に基づいて物件探しから交渉、契約までをサポートしてくれますから、折衝事が苦手な人や忙しくて自分でいろいろと動けない人、また、物件とその物件を管理する不動産会社の所在地が離れている場合、物件所在地近辺の不動産会社に取引を依頼したい、という人にメリットが大きいと言えるでしょう。
7. 媒介、代理、貸主の違いを知る
賃貸情報誌の賃貸広告には「取引態様」という欄があります。ここには「媒介」「代理」「貸主」の3つのうちどれか1つが書かれています。
「貸主」とは、不動産会社が自社所有物件を賃貸する、という意味です。
「代理」とは、一般的には、不動産会社が家主の依頼で管理している物件の入居者を募集する、という意味です。
「媒介」とは、家主や他の不動産会社から依頼された賃貸物件を仲介する、という意味です。
貸主の場合、不動産会社自身が家主ですから仲介手数料がかかりません。代理や仲介の場合は、不動産会社が取引の仲立ちをするので、仲介手数料がかかります。
8. こんな不動産会社には要注意
ほとんどの不動産会社は法律を守って営業活動を行っていますが、ごく一部に悪質な不動産会社も存在します。例をあげましょう。

例1:賃貸広告を見て電話したところ「まだ空室です」と言われたので、その日のうちにその会社を訪問したが、「ついさっき成約した」と言われて、自分の希望とまったく違う物件に入居するよう強引に説得された。
例2:物件を下見する前に、「下見するには、家賃の1か月分を当社に手付金として預ける必要がある」と言われて、家賃1か月分を預けた。下見した結果、希望と合わなかったので、金銭の返還を求めたところ「もうあのお金は家主に渡したので返せない」と言われた。

(例1はおとり広告の例です。例2は、不当な理由で預り金を返還しない例です。どちらも法律違反です。このような不動産会社とのトラブルに巻き込まれた場合は、苦情処理窓口の利用をお薦めします。)
9. 取引のトラブルは苦情処理窓口へ
都道府県庁の宅地建物取引に関する苦情窓口では、賃貸借取引に関する苦情を受け付けています、トラブル解決のためには、この窓口を利用するのが有効です。
この窓口の職員はすべて都道府県庁の公務員なので、不動産会社を詳しく調査する権限があります。悪質な場合には不動産会社の営業を停止させることも可能です。ここでは首都圏の窓口をご紹介します。
物件の下見から入居の申し込みまで
1. 必ず騒音をチェックする
物件を下見するとき、騒音のチェックは念を入れて行いましょう。週末の昼間に物件を下見するときはとくに要注意です。たとえば、平日は、近隣の工場や学校が出す騒音がうるさいが、週末は静かということもあります。また昼間は静かでも、夜になると近くの幹線道路の騒音が響くこともあります。できれば物件に入居を決める前に、昼と夜、平日と週末、のように2回以上は現地でチェックしたいものです。
2. 日照のチェックも忘れずに
物件を下見するとき、窓がどの方角を向いているかという点は意外にチェックしにくいものです。よく言われるように、東向き、南向きが、日当たりの良い方角ですが、下見の際に方角を正確に知るのは難しいので、下見の後に住宅地図で部屋の向きをチェックすることをお薦めします。
また、東向き、南向きの窓がある部屋でも日当たりが良いとは限りません。たとえば、部屋に接するような建物が隣にあるケースも多いでしょう。また、少し離れたところに高いマンションなどがあり、カーテンを開けると部屋の中が見えてしまうケースもあります。下見の際に、実際に窓の外を見て、周囲の状況をチェックしてください。
3. 部屋の広さは自分の目で確かめる
賃貸広告では、部屋の広さを、平米数では表示せず、帖数(畳の枚数)で表示している広告が多く見られます。1帖の広さは、不動産広告の基準によって「1.62平米〜1.65平米」と決められています。
物件の下見の際には、この基準をもとに、部屋の広さを自分の目でチェックしてください。またこのとき、タンスやベッドといった持ち込む家具の大きさなども確認しておくと良いでしょう。
4. 建物の管理状態で入居者の質が分かる
物件の下見をする際、建物の管理状態が良いかどうかチェックしてください。ゴミ捨て場・駐輪場の使い方や、廊下・階段の清掃の様子などを見れば、きちんと管理されているかどうかが分かります。
建物の管理状態が悪い物件では、入居者の生活態度も悪いことが多いようです。管理状態が悪いのは管理会社がしっかりしていない証拠です。入居してからほかの入居者に悩まされないためにも、管理状態のいい物件を選びたいものです。
5. 周辺環境は歩いてチェック
物件を下見する際、物件の周辺をできるだけ歩いて、自分の目で環境をチェックしてください。とくに重要なのは、騒音や悪臭のチェックです。
たとえば物件のすぐそばで、うるさい犬のいる家を見つけたとしましょう。この物件に入居すれば、早朝に犬の吠える声で悩まされるかもしれません。同じように、住宅地の中にある小規模な工場なども要注意です。
また、悪臭もチェックしましょう。たとえば、物件の裏手の川から悪臭がするというケースもあります。
こうした物件の欠点は、入居してはじめて判明することが多いのですが、入居してから後悔しないためにも、周辺環境を歩いてチェックするべきです。
6. バス便のときは終バスの時間もチェック
バス便の物件では、駅前のバス時刻表で終バスの時間をチェックしておきましょう。終バスが夜10時ごろに駅を出てしまう地域も多いからです。
さらに、できれば夜間にタクシーにすぐ乗れるかどうかも確認しておきたいものです。タクシーの状態は、不動産会社の営業マンに聞いても分からないことが多いので、実際に夜に現地に行って確認するのが確実です。
7. 夜道が安全かどうか
女性の場合は、駅から物件までの道が夜間も安全であるかどうか、忘れずにチェックしてください。朝や昼間は人通りが多くても、夜間になると人通りがなくなるような道が、とくに住宅地では多いからです。
もしも駅までの最短経路が、夜になると人通りがなくなるような場合には、より安全な経路を自分で考えて、その経路を実際に歩いて見てください。
8. 入居申し込みは「契約」ではない
物件を下見して気に入った場合、不動産会社に「入居申込書」を提出することになります。この入居申込書の書式は、不動産会社によってまちまちですが、住所、氏名、年齢、職業、年収などを記入する書式になっています。
ここで注意したいのは、入居申込書は、あくまで入居する意思を確認するだけの書類であって、賃貸借契約書ではない、ということです。
したがって、入居申込書を提出した後でも、入居申込みをキャンセルすることが可能です。提出する前に、この点を不動産会社に再確認しておくとよいでしょう。ただし、軽はずみなキャンセルは不動産会社に迷惑をかけることになるので、申し込みはくれぐれも慎重にしてください。
9. 入居申込書の役割
不動産会社が用意している「入居申込書」には、住所・氏名・年齢・職業・年収・保証人の氏名などを記入する欄があるのが一般的です。こうした細かい事項を記入する理由は、不動産会社が家主にその内容を知らせる必要があるからです。
つまり、入居申込書は、家主がOKを出すかどうかを決める重要な書類です。入居者としてはできるだけ詳しく記入した方がよいでしょう。
ただし、申し込みの時点では、まだ保証人を誰にするか決まっていないことが多いと思われます。この場合は、不動産会社にその旨を告げて、保証人になる見込みの人を記入しておくのがよいでしょう。
10. 入居審査で落ちることもある
家主は入居希望者が提出した「入居申込書」をもとに、その希望者を入居させるかどうか判断します。これを「入居審査」と言います。入居審査にかかる時間は大体1週間ぐらいです。
この入居審査で家主が入居をOKしないケースもあります。家主から見れば、自分の財産であるマンションやアパートを他人に貸すわけですから、経済的に安定している人や、生活上のルールを守る人に部屋を貸したいと考えるのは、当然のことと言えるでしょう。
賃貸借契約を結ぶとき
1. 入居する人の住民票を用意する
賃貸借契約の際には、入居する人の住民票を提出するのが一般的です。したがって、賃貸借契約の日取りが決まったら、できるだけ早く、入居する人(自分だけでなく入居する家族全員)の住民票を用意しましょう。住民票は、市区町村役所またはその出張所で交付してもらいます。
2. 入居する人の収入証明書を用意する
賃貸借契約の際に、入居する人の収入証明書を提出するケースがあります。収入証明書が必要かどうか、不動産会社に事前に聞いておきましょう。
収入証明書とは、サラリーマンの場合、会社から年に1度交付される「源泉徴収票」ですが、毎月の給与明細書でもよいことがあります。
また自営業の場合は、税務署に確定申告をした際に交付される「確定申告書の写し」や「納税証明書」が必要になります。
3. 保証人の保証書を用意する
保証人の保証書とは、万一の際には保証人が入居者の債務(家賃の滞納分など)を肩代わりするという内容の書類です。
これは、不動産会社によって書式も名称もまちまちです。「保証書」「保証契約書」「連帯保証契約書」「保証人引受承諾書」などいろいろな名称があります。いずれにしても、保証人が入居者の債務を保証するという内容の契約書です。
保証書には、通常の場合、保証人の実印を押印することになっています。賃貸借契約を結ぶ前に、早めに保証人にこの保証書を書いてもらいましょう。
4. 保証人の印鑑証明書を用意する
賃貸借契約の際に、保証人の印鑑証明書を用意する場合があります。これは、保証人の住所を確認すると同時に、賃貸借契約書に押印される印鑑が実印であることを証明するためのものです。保証人の印鑑証明書が必要な場合には、早めに保証人にお願いしましょう。
5. 法人契約で用意する書類
個人ではなく、その個人が勤めている会社などの法人が、賃貸住宅を借りることを「法人契約」と言います。社員を転勤させたときに、転勤先の住居を会社が借りるケースでは、この法人契約を結ぶことになります。
法人契約の手続きは会社の総務部や人事部が行うのが普通ですが、このとき必要な書類は「会社登記簿謄本」「入居する人の住民票」「入居する社員の従業員証明書または保険証」などです。
入居者としては少なくとも入居する人の住民票だけは早めに用意しておきましょう。
6. 契約までに用意する書類一覧
賃貸借契約までに個人で用意する書類は次のとおりです。Aは一般的に必要なもの、Bは必要な場合があるものです。(なお法人契約の場合は異なります。)
  • 入居する人の住民票
(A)
  • 入居する人の収入を証明する書類
(A)
  • 保証人の印鑑証明書
(A)
  • 保証人の収入を証明する書類
(B)
7. 契約までに用意するお金一覧
賃貸借契約までに用意するお金と、その目安になる金額は次のとおりです。
  • 礼金
家賃の0〜2ヶ月分(礼金無しの物件もあり)
  • 敷金
家賃の2〜3ヶ月分
  • 仲介手数料
家賃の1ヶ月分程度(別途+消費税)
  • 前家賃
家賃の1ヶ月分程度
  • 損害保険料 
2万円程度
8. 重要事項説明書をチェックする
重要事項説明書とは、物件概要や契約内容を詳しく記載した書類です。不動産会社は、賃貸借契約を結ぶ前に、この重要事項説明書を入居者に交付する義務があります。重要事項説明書は、契約書ではありませんが、非常に重要な書類です。
不動産会社は、重要事項説明書を入居者に交付する際に、その内容を入居者に説明する義務があります。このとき内容を説明するのは、一定の資格を持った人(宅地建物取引主任者)が主任者証を明示して行わなければなりません。
もし、重要事項説明書の内容を聞いているときに、疑問が出てきたら、その場で質問してください。そして、最終的に納得してから、契約手続きに入ってください。
また、定期借家契約(更新のない賃貸借契約)ですと、ここで必ず説明があります。定期借家契約は、期間が満了になると契約終了ということになりますが、互いに合意すれば再契約できますので、十分に説明を聞いてください。
9. 電気・ガス・水道の状態を確認する
重要事項説明を受けるときに、電気・ガス・水道の状態も入居者に説明されます。このとき、それらの設備が入居と同時に使用可能かどうかを、よく確かめておいてください。電気・ガス・水道の設備はあるが、実際には使用停止になっているケースも多いからです。
10. 契約書は納得してから署名する
賃貸借契約書には、すぐに署名・押印するのではなく、不動産会社に分からないところを質問して、納得してから署名・押印するようにしてください。というのは、賃貸借契約書を結んだ時点で、契約のキャンセルは原則的にできなくなるからです。
たとえば、契約を結んだが、後日、気が変わり入居前に契約をキャンセルしようとしたとします。入居前であっても契約は始まっているわけですから、通常の場合、礼金・仲介手数料は入居者には戻ってきません。入居者には、基本的に敷金が戻ってくるだけです。
11. 家賃の金額・支払い方法をチェックする
契約書を読むとき、最初に家賃の金額と支払い方法をチェックしましょう。通常は、翌月分の家賃と管理費の合計金額を、当月末ごろに所定の銀行口座に振り込むことになっているケースが多いようです。このとき、銀行口座に振り込む手数料は、入居者が負担するのが一般的です。
12. 家賃の値上げをチェックする
たいていの契約書には、家賃の値上げに関する条文があります。よく見られる例は「契約を2年ごとに更新する際に、近隣の建物の賃料と比較して賃料の増額が相当と認められるときは、賃料を値上げする」というものです。またたとえば「契約を2年ごとに更新する際に賃料を5%値上げする」のように、一定の率で自動的に値上げするという場合もあります。忘れずに確認しておきましょう。ただし、通常の賃貸借契約では、賃料の値上げに関して、入居者に著しく不利なものは無効とされることがあります。
13. 更新料をチェックする
賃貸住宅は2年に1度の割合で契約を更新するのが一般的です。契約を更新するたびに、家賃の0.2ヶ月分〜0.5ヶ月分の「更新料」を支払うケースが多いようです。この更新料の金額は契約書に書かれていますから、チェックしてください。
なお、住宅金融公庫の融資で建築された賃貸物件の場合は、家主が入居者から更新料を徴収することはできません。
14. 禁止事項をチェックする
賃貸住宅で生活する際のルールも、契約書(または契約書に付属する書類)に書かれています。たとえば、ペット禁止、ピアノ禁止、深夜の騒音の禁止などです。こうした禁止事項はよくチェックしてください。
15. 同居人の追加ができるかチェックする
たとえば、結婚を予定しているので2DKの賃貸物件を借りるが、入居当初は1人で住むという場合、契約後に入居者数が増えることになります。こういう場合に備えて、契約書では「同居人の変更や増加は事前に家主に通知しなければならない」と書かれていることが多いようです。
16. 造作についてチェックする
エアコンや照明器具、ガスコンロ、湯沸し器などの設備機器(造作)の設置状況も確認しておきましょう。もし必要なものが設置されていない場合は、入居者が自ら設置しなければならないことになります。
家主の同意を得て入居者が設置した造作は、原則として退去時に家主に買取ってもらうことができますが、契約書に「造作の買取請求をしない」「退去時に取り外す」といった造作に関する特約があるときは、その特約に従わなければなりません。
なお、どれにもあてはまりますが以上は管理会社の承諾を頂いてください。
17. 修繕費を誰が負担するかチェックする
賃貸住宅で生活するうちに、いろいろな修繕が発生します。軽微なものでは電球の取り換えから、大きなものでは、ガス給湯機やエアコンの故障、漏水などです。一般的な契約書では、これらの修繕項目について、誰が修繕費を負担するのかという点が詳しく書かれていません。そのため、入居後に修繕費用の負担をめぐってトラブルになることがよくあります。
通常、電球の取り換えのように軽微な修繕は、入居者の自己負担です。しかし、金額が大きく、しかも普通に生活していれば当然に予想されるような修繕(水道が老朽化したため漏水した場合等)については、家主と入居者で負担するか、もしくは家主が負担する場合が多いようです。
できれば、契約の段階で、修繕費用の負担について質問して、トラブルが起きる可能性を少なくしておきたいものです。
18. 契約期間の始まる日をチェックする
契約期間とは、入居者がその物件に入居する予定日から、契約が終了するまでの期間を指します。
ここで注意したいのは、たとえ入居者の都合で入居が遅れたとしても、家賃は契約期間の始まる日から発生してしまう、ということです。
したがって、家賃を無駄にしないためにも、契約期間の始まる日は、自分が確実に入居できる日にしておきたいものです。
19. 契約の解除をチェックする
入居者が契約に違反したことを理由に、家主が契約を打ち切ることを「契約の解除」と言います。通常の生活をしていて、家賃を支払っているならば、契約を解除されることはありません。なぜならば、入居者の権利は法律(借地借家法)で保護されているからです。そのため家主は、家主側の一方的な都合で入居者を退去させることはできないのです。
しかし、家賃滞納が長期間続いた場合や、入居者が著しく他の入居者に迷惑をかけ続けた場合には、家主は契約を解除することができます。契約書には、この点が書かれているので、よくチェックしてください。
20. 中途解約の方法をチェックする
入居者が契約期間の途中で、契約の打ち切りを家主に申し入れることを「中途解約」といいます。期間を定めた賃貸借契約の場合は、特約がないと原則として中途解約はできません。一般的な契約書では「入居者が中途解約しようとするときは、退去日の1ヵ月以上前に、家主に通知しなければならない」などといった特約のあるものが多いようですが、念のために確認しましょう。
中途解約のための通知を「解約予告」といいますが、この解約予告が遅れると、その遅れた日数の分だけ家賃を余分に支払うことになるので注意してください。
また、解約予告は「1ヵ月以上前」とされるのが一般的ですが、「2ヵ月以上前」などとされている契約書もあります。契約の時点でチェックしてください。
床面積200平米未満の居住用建物の定期借家契約で、入居者に「転勤、療養、親族の介護その他やむを得ない事情が起こり、自己の生活の本拠とすることが困難になったとき」は、中途解約の特約がなくても、中途解約の申入れから1ヵ月後に賃貸借契約が終了します。
21. 敷金がどのくらい戻ってくるかチェックする
敷金は部屋を退去する際に戻ってきますが、全額戻ってくるとは限りません。部屋の補修費用は、敷金から差し引かれます。
ここで注意したいのは、入居者の故意や過失で破損・汚損した部分の補修費用だけが敷金から差し引かれる、ということです。
逆に言うと、入居者に責任のない部分まで、入居者が補修費用を負担することはないのです。たとえば、畳の日焼け、壁・床・天井の汚れ等で、通常の生活で当然予想される程度のものであれば、入居者の敷金から差し引かれないのが一般的です。
契約の時点で、この点もチェックしてください。
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